絵本

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絵本を読む子どもたち

うちは小児科だから、待合室には絵本がたくさん用意してあるんだけど、それを読んでもらっている子どもたちの姿は見ていてとても微笑ましいなって思う。
発達障害の子どもの場合、じっとしているのが苦手な場合も多いのだけど、そんな子どもでも夢中になるのが「しかけ絵本」。
しかけ絵本というのは、ご存じのとおりページを開くと登場人物が飛び出したり、動いたりするもの。
「次はなにが出てくるんだろう?」というわくわく感に、多動の子も本にくぎ付けになっていることがあるんだ。

人気の絵本

うちの待合室のしかけ絵本の中で根強い人気なのが「はらぺこあおむし」。
私も子どものころに持っていたけれど、今の子どもたちも大好きみたい。
「はらぺこあおむし」は、卵からかえったばかりの小さな青虫がいろいろなものを食べて大きくなる話。
それぞれのページには、青虫の食べたものの絵がカラフルに描かれていて、そこに穴が開いてるんだ。
これは青虫が食べた穴ということだけど、この穴が子どもたちには楽しくてしょうがないみたい。
のぞいたり、指を入れてみたりといつも大さわぎ!
青虫が食べるものの数が順々に増えていくこととか、リズミカルな言葉の繰り返しも、子どもたちが喜ぶポイントだね。
そして欠かせないのが、わくわくするような展開。
「はらぺこあおむし」では、主人公の青虫が最後の頁でチョウに大変身するんだけど、ここで歓声を上げる子どもも多いんだ。

その他に人気なのは「ぐりとぐら」かな。
これはしかけ絵本ではないけれど、やっぱり、私が子どもの時からある。
たぶん、20代の私よりもっと上の世代の人も読んでいるはず。かなりのロングセラーだよね。
これはなんといっても、「大きなホットケーキ」が魅力。
子どもたちはみんな、食い入るように絵本のホットケーキを見ているよ。
そして、「帰りにホットケーキを食べたい」とお母さんにねだる子まで出てきたりするのが、小児科の面白いところ。
うちの病院には小さなカフェがあって、そこのショーウィンドーにはホットケーキが飾られている。
「ぐりとぐら」を読んだ後にホットケーキを見たら、やっぱり食べたくなっちゃうよね。
「ぐりとぐら」のあのホットケーキは、大人でも思わず夢中になってしまうほど、魅力的に描かれているから、それもまあ納得のいく話かな。

本当に良い絵本というのは、大人が読んでも良さが伝わってくるものなんだなって思う。
そして、良い本をたくさん読んで育った子どもは、やっぱり、心が豊かで優しい子になるんじゃないかな。
待合室にいるのは短い時間だけれど、その間に読んだ本が子どもたちにとって大切なものになったら嬉しいし、そんな魅力的な本をそろえてあげたいと思うよ。